第一次上海事変の研究
―軍事的勝利から外交破綻の序曲へ―
著者 | 影山好一郎著 | |
定価 | 10450円(10%税込) | |
本体 | 9500円(税別) | |
判型 | A5判 | |
体裁 | 上製本・カバー装 | |
発行日 | 平成31年1月10日 | |
ISBN | 9784764603509 | |
ページ数 | 576頁 |
第一次上海事変は日本近現代史にいかなる影響を 及ぼしたのか? 軍事と外交の実相に迫る!
満州事変の陰に隠れほとんど知られていない1932(昭和7)年の第一次上海事変。関東軍参謀の謀略による満州国建国の隠れ蓑となったこの事変は、日本軍の軍事的勝利にもかかわらず、外交的に破綻を色濃くし、国際連盟からの脱退を加速するに至った。
また、事変の収拾過程で、海軍は徐々に対米・対中強硬路線へと暴走を始める等、日本近現代史に極めて大きな影響を与えた。
第一次上海事変の軍事と外交の実相とその本質に迫る研究結果を纏めた初めての本格的研究書。
『日本歴史』2020年4月号の「書評と紹介」で紹介頂きました。
目次
序章第一章 上海事変前の上海共同租界と中国―共同租界の安全保障―
第二章 上海事変前史―日中対立要因と日本政府・陸海軍の満州事変対処―
第三章 上海事変前の上海における日中対決―武力衝突前日迄の危機と日中間の応酬―
第四章 「第Ⅰ期:事変勃発期」における軍事と外交―上海事変の勃発の構造(侵略と誤認された背景と理由)―
第五章 「第Ⅱ期:事変初期」における軍事と外交―第三艦隊及び陸軍派遣による橋頭堡の設定と停戦の動き―
第六章 「第Ⅲ期:事変中期」の陸海軍協同作戦と停戦への動き
―日本軍の第一次・第二次総攻撃の苦戦と外交の硬化―
第七章 「第 Ⅳ期:事変後期」の軍事と外交―第三次総攻撃から停戦協定の成立へ―
第八章 日本陸海軍の撤収と日中双方の損害
第九章 事変の謀略に関する考察―その発想と限界―
第十章 上海事変が日本海軍に与えた影響―海軍軍令部の権限強化から海軍の暴走へ―
第十一章 上海事変による外交破綻への序曲―国際連盟脱退への加速要因と「リットン報告書」の「第五章 上海」―
終章
索引
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著者略歴
1942年1月生まれ。防衛大学校本科(第9期)及び研究科(第8期 電子計算講座)卒業。1971年海上自衛官として自衛艦あずま艦長付、海上幕僚監部防衛課にてP-3C導入担当、豪国統幕学校学生、第二航空群支援整備隊司令、防衛研究所戦史部主任研究官、防衛大学校教授・図書館長、帝京大学文学部史学科教授等を経て2012年退職。軍事史学会顧問。
2018年博士(文学)帝京大学。
著作(共著)
同台経済懇話会編『近代日本戦争史 第三巻』(東京堂出版、1995年)
軍事史学会『日中戦争の諸相』(軍事史学会・錦正社、1997年)
横浜対外関係史研究会編『横浜英仏駐屯軍と外国人居留地』(横浜開校史料館・東京堂出版、1999年)
佐世保市『佐世保市史(軍港編)上・下巻』(佐世保市、2002年)
海軍史研究会『日本海軍史の研究』(吉川弘文館、2016年)など