日本軍の精神教育
―軍紀風紀の維持対策の発展―
著者 | 熊谷光久著 | |
定価 | 4180円(10%税込) | |
本体 | 3800円(税別) | |
判型 | A5判 | |
体裁 | 上製本・カバー装 | |
発行日 | 平成24年3月20日 | |
ISBN | 9784764603356 | |
ページ数 | 386頁 |
日本陸海軍の精神教育の実態と刑罰・懲罰の制度に鋭く迫る
精神面に関する施策がどうに行われ、変遷したか、その功罪は何か、戦力の最大限の発揮という目的に照らして、精神教育と技術教育の関係はどのようなものとして考えられていたのか、兵器の発達は、個人と組織との関係にどのような変化をもたらしたのか、組織と個人のかかわりを内側から探る。目次
序 言 筑波大学教授 波多野澄雄はじめに
第一章 明治初期の軍刑律の性格
第一節 「海陸軍刑律」の性格と「軍律」・「読法」との関係
第二節 「陸軍諸法度」の性格
第三節 幕末から明治初年の軍紀維持施策の実例
第四節 日本式の法度・軍令・軍法から洋式規則への転化
第二章 不軍紀の象徴、竹橋事件の原因
第一節 近衛兵俸給の減額の影響
第二節 西南の役論功行賞の遅れの影響
第三節 士族出身の壮兵が暴動を起こしたという説の分析
第三章 「海陸軍刑律」下の軍人犯罪
第一節 明治初期壮兵の状況
第二節 不軍紀状態の分析
第三節 西南の役当時の不軍紀と刑罰問題
第四章 軍紀確立のための精神面教育の施策
第一節 精神面の施策の方向
第二節 「軍人勅諭」の下賜の際の処置とその後
第三節 軍人勅諭、軍人訓誡、読法、軍刑法の相互関係
第五章 軍紀風紀の取締り制度
第一節 「陸軍刑法」・「海軍刑法」の制定
第二節 海軍が参謀本部設置問題で陸軍との対等を要求した経緯
第三節 軍人の政治活動と陸軍の対応
第四節 憲兵制度の発足と指揮官による軍紀取締りの根拠
第六章 精神面を中心とする軍紀風紀維持策の発展と効果
第一節 陸軍における精神対策・軍紀風紀維持策の発展
第二節 海軍における精神対策・軍紀風紀維持策の発展
第三節 大正デモクラシー時代の思想対応措置としての精神対策
第四節 兵式体操の振興による国民を含む精神振興策
第五節 精神教育・軍紀風紀維持策の効果の一検証
おわりに
主要参考文献目録
法令達・事件一覧
関係法令等参考資料集
索引
用語索引
主要人名索引
詳細目次(PDF)
著者略歴
熊谷 光久(くまがい てるひさ、筆名 熊谷 直)山口県防府市出身、昭和11年福岡県久留米市生。
昭和34年防衛大学校卒(3期航空)後、防空の第一線指揮官勤務。参謀養成の指揮幕僚課程・研究員、部内教育行政を経て防衛大学校助教授、防衛研究所・統合幕僚学校等で研究者・教官として勤務。
平成3年学校教育部長を定年退官後、軍事評論家熊谷直(タダス)として講演著作活動をしつつ軍事・軍制史を研究。
[研究書・論文]
『日本軍の人的制度と問題点の研究』(平成6年、国書刊行会)、学会誌『軍事史学』『政治経済史学』ほかに、軍事制度・軍事教育の論文多数。
[熊谷直としての一般書]
『軍学校・教育は死なず』『日本の軍隊ものしり物語1・2』『気象が勝敗を決めた』『軍用鉄道発達物語』(以上光人社)、『日本海軍はなぜ敗れたのか』(徳間書店)、『詳解作戦要務令』(朝日ソノラマ社)、『民族紛争を読み解く』『米軍統合に何を学ぶか』(以上芙蓉書房出版)その他多数。