山鹿素行自筆本『配所残筆』
―写真・翻刻・研究・校訂・意訳―
著者 | 秋山一實著 | |
定価 | 10450円(10%税込) | |
本体 | 9500円(税別) | |
判型 | A5判 | |
体裁 | 上製本・函入 | |
発行日 | 平成25年7月14日 | |
ISBN | 9784764602977 | |
ページ数 | 380頁 |
山鹿素行の「遺書」=『配所残筆』の文献学的研究書
江戸時代前期の兵学者・山鹿素行の「遺書」である『配所残筆』の文献学上の課題や未解明の問題を長年にわたる調査・研究から解明。『配所残筆』に文献資料として解明されなくてはならない課題や、克服しなければならない大きな問題が四点ある。それは、第一に『配所残筆』の写本には「自筆本」と「増補本」が存在すること、第二に「自筆本」「増補本」のどちらを『配所残筆』の基本とすべきかということ、第三に「自筆本」「増補本」の双方に過誤・誤写と考えられる意味不通の箇所があること、第四に現行の「翻刻本」がすべて錯誤・誤植の問題を有していて万全といえる文献資料がないということ、である。
そこで本書は、種々の資料的な課題や問題を克服し、「校訂本」を作成、さらに、「意訳」をも収録した。
構成は、第一部として、最初に「自筆本」の写真版を掲載。
つづく第二部は、第一章では、自筆本『配所残筆』の実見調査の概要を整理し、「自筆本」を翻刻して問題点を分析、さらに「山鹿文庫甲本」との校異を明示して、同写本が「自筆本」の補正にいかに有益かを論じた。第二章では、『配所残筆』の写本・一七本すべての実見調査の概要を列記し、「自筆本」と写本との校異一覧を作成。対校結果から「増補本」の特色を整理し、「増補本」を素行みずからが執筆したという自説の理由を述べた。第三章では、自筆本『配所残筆』に、なぜ校訂が必要なのかを説き、第一章、第二章で抽出できた資料的な成果を用いて「〔校訂〕『配所残筆』」を掲載し、その校訂箇所の理由を説明した。
第三部では、読者の理解と便宜を重視した現代語訳の「〔意訳〕『配所残筆』」を所載。
武士道を初めて学問的に「士道」として理論付けた山鹿素行。山鹿素行が唱導する「士道」は、現代の指導者にも通じる「普遍の教訓」である。その素行哲学の実践躬行の記録である『配所残筆』の文献学上の課題を繙く貴重な研究書。
目次
はじめに『配所残筆』とは何か
本書の最終目的
文献資料としての問題点
研究の履歴と概要
本書の構成と概要
第一部 〔写真〕山鹿素行自筆本『配所残筆』
第二部 『配所残筆』の文献学的研究
第一章 『配所残筆』の自筆本
一、自筆本『配所残筆』の調査概要
二、〔翻刻〕自筆本『配所残筆』の凡例
三、〔翻刻〕自筆本『配所残筆』
四、自筆本の問題点と山鹿文庫甲本
第二章 『配所残筆』の写本
一、写本『配所残筆』の調査概要
二、〔校異〕自筆本・写本『配所残筆』の凡例
三、〔校異〕自筆本・写本『配所残筆』
四、自筆本・写本の対校結果
五、増補本『配所残筆』の特色
六、増補本『配所残筆』の成立
第三章 『配所残筆』の校訂
一、『配所残筆』の校訂
二、〔校訂〕『配所残筆』の凡例
三、〔校訂〕『配所残筆』
四、『配所残筆』の校訂結果
第三部 〔意訳〕『配所残筆』
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著者略歴
秋山 一實(あきやま かずみ)昭和32年、福島県いわき市生まれ。
皇學館大学大学院文学研究科(国史学)修士課程修了。
(財)神道大系編纂会研究員を経て、現在、金沢工業大学基礎教育部
修学基礎教育課程准教授、同大学日本学研究所幹事兼研究員。
著 書
『神道大系』古典註釈編「日本書紀註釈(下)」(財)神道大系編纂会
『神道大系』論説編「熊沢蕃山」(共著)
『続神道大系』論説編「山鹿素行」(共著)
『平泉澄博士全著作紹介』勉誠出版(分担執筆)