第二次世界大戦(一)
―発生と拡大―
著者 | 軍事史学会編 | |
定価 | 4379円(10%税込) | |
本体 | 3981円(税別) | |
判型 | A5判 | |
体裁 | 並製本・カバー装 | |
発行日 | 平成2年3月29日 | |
ISBN | 9784764603011 | |
ページ数 | 444頁 |
第二次世界大戦の諸相を斬新な視角で問い直す
内外の第一線執筆者陣による第二次世界大戦勃発50周年記念出版!『軍事史学』第99・100号合併号
『軍事史学』100号記念特集号の刊行に寄せて
国際大学教授 細谷千博
今般『軍事史学』が100号を迎えるにあたり、これを記念し、『第二次世界大戦-発生と拡大-』と題する特集号を刊行する運びとなった。軍事史学会が発足して、二十五周年の記念すべき年でもあり、誠に慶賀のいたりである。『軍事史学』はこれまで、戦争史や戦略・戦術、あるいは軍隊・兵器といった、狭義の軍事研究にとらわれることなく、広く政治、経済外交に目を広げて、地味ながら多くのすぐれた論文に発表の場をあたえてきたが、今回の特集号もその伝統に即し、広範な領域をカバーし、質量両面ですぐれた論文集となっている。
第二次世界大戦から太平洋戦争にかけての時期を扱った論文を中心に、又若手の力作から国際的に活躍する外国人研究者の寄稿をも含み、顔ぶれも多彩である。大戦研究の新分野を切り開こうとする意欲的な論考もみられ、学界に寄与するところ多大と思われる。
時あたかもこれらの戦争からの五十周年に際会しており、企画・発刊まことにタイムリーで、広く一般の方々にも一読を推薦する次第である。
目次
《序》野村実/『軍事史学』100号記念特集号の刊行に当たって
《提言》
栗原健/「歴史における勢い」について
池田清/軍事史学の課題
土谷一郎/100号記念特集号の発刊に思う総論
《総論》義井博
《第一篇 開戦前夜の日本》
三輪公忠/ナショナリズムと国家-日本は特殊か-
野村実/開戦時の昭和天皇と木戸幸一
春川由美子/近衛内閣から東條内閣へ-経済統制の問題点の推移-
片岡徹也/戦争決意に影響した日本陸軍用兵思想の欠陥
鎌田伸一/対米開戦経緯と意思決定モデル
《第二篇 拡大と和平の間-日中戦争-》
R.ディングマン(高橋久志訳)/揚子江の危機-再考パネ一号事件-
森松俊夫/昭和十五年・支那事変年内解決の努力-日・国・共三者の相剋-
桑田悦/戦争限定の成功と挫折-日清戦争と支那事変-
《第三篇 南進の諸相》
E.B.レイノルズ(高橋久志訳)/狡猾なる小国外交-タイと日本の南進-
塩崎弘明/オランダと日英米戦争への道
相澤淳/海軍良識派と南進-海南島進出問題を中心にして-
森瀬晃吉/チャンドラ・ボースのインド独立闘争と日独伊三国同盟-第二次世界大戦と民族解放連動-
《第四篇 モスクワ・ベルリン・東京・セダン》
吉田輝夫/いわゆる「独墺合併」とイギリス
G.クレープス(村井友秀訳)/ドイツ・ポーランド危機(1938~1939年)に対する日本の調停
石原司/ドイツ側戦線から見た奇妙な戦争
守屋純/独ソ戦発生をめぐる謎
戸部良一/独ソ戦の発生と日本陸軍
大木毅/ドイツと「関特演」
A.D.クックス(高橋久志訳)/戦われざる日ソ戦-1941~1942年-
秋野豊/国家危機の外交-第二次世界大戦勃発がら1943年にいたるソ連外交-
《第五篇 真珠湾前後》
糸永新/海軍力のプレゼンスによる対日抑止-合衆国艦隊のハワイ進出をめぐる紛糾-
平間洋一/日本海軍の対米作戦計画-邀撃漸減作戦が大平洋戦争に及ぼした影響-
加藤陽子/戦時経済外交・楽観と暗転-アメリカ互恵通商主義と日本-
山倉明弘/戦時日系米人強制収容への道程
中井晶夫/第二次世界大戦五十周年記念「西ベルリン国際会議」に出席して
波多野澄雄/独ソ不可侵条約と日本・ドイツ-第二次世界大戦五十周年記念「パリ国際会議」に出席して-
杉之尾孝生/二つの公刊戦史『大東亜戦争開戦経緯』
『軍事史学』総目次(庄司潤一郎監修)