寒林夜話
―祖父平泉澄との対話―
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著者 | 平泉隆房著 寒林夜話刊行委員会編 |
定価 | 2530円(10%税込) | |
本体 | 2300円(税別) | |
判型 | A5判 | |
体裁 | 上製本・カバー装 | |
発行日 | 令和7年5月23日 | |
ISBN | 9784764601567 | |
ページ数 | 282頁 |
平泉博士の学問、ここに蘇る
平泉澄博士から平泉隆房博士へ語り継がれた貴重な記録。十三年余に亘り雑誌『日本』に連載した四十話を一冊に纏め、索引を付して刊行。「この『寒林夜話』は単なる随想録ではない。本書の執筆にあたって父(隆房)は曾祖父(澄)の日記・手帳・ノート・録音テープを駆使し、記憶に頼るということを極限まで遠ざけている。……互いに実証性を重んじた祖父と孫、二人の学者の記録に基づいて書き綴られたのであり、そうであるが故に本書は史料として無量の価値をもつ。」(平泉紀房「あとがき」より要約)
目次
口絵・凡例一 蔵書の書き込み
井内慶次郎氏の勧め/平泉澄資料館/『細川日記』/『泰澄和尚傳記』
二 祖父のメモ帳
西田幾多郎博士/石田茂作博士/白山神社所蔵絵図
三 白山神社と楠木氏
泰澄大師供養塔/大楠公供養塔/浜尾新総長
四 空襲の被害
中村直勝博士/田中義成博士/曙町の書斎/長谷部言人博士
五 見えない物を見る感性
御巫清直翁/塔尾御陵/亀山上皇
六 日光東照宮の研究
山下三次宮司/高原美忠先生
七 英雄の著『近世日本国民史』
徳富蘇峰翁/田中光顕伯
八 祖父が好んだ戦国の気風
陸軍と海軍の不仲/レイテ沖海戦/戦国時代の気性
九 ミッドウェー海戦の敗因
倉橋友二郎少佐/小田原俊彦大佐
十 文部省の企てに消極的
皇国正史編修の議/「明治は遠くなりにけり」/佐久良東雄先生のお歌
十一 学会や神職界を見つめて
九州での学会の祖父の質問/氏子と共に神様を拝する神主
十二 神の感得
白山教なるもの/祝詞奏上/神々の霊感
十三 兼務社および永平寺
山口誠之助翁/道元禅師と白山
十四 丹念に辞書を引く
平泉といふ地名/ある東大名誉教授の訃報/「サザエさん」の家のお話
十五 模倣でない価値
玄成院の家/リッカート先生/鰐淵源博士/お金で買へない遺産
十六 帝大図書館の焼失
関東大震災/石仏出現の不思議
十七 海軍技術研究所
祖父の絶筆/徳永栄中将/祖父最後の話
十八 南北朝正閏論
終戦間際の東大教授/三上参次博士/上田萬年先生
十九 まつすぐな人を評価
常盤大定博士/山腰天鏡師/佐佐木信綱博士/團藤重光氏
二十 米軍も精神力強調
ケンプ・トーリー氏/エラー海軍大尉の論文
二十一 進んで攻むるに如かず
ミッドウェー以後の戦局/ラバウル/高月龍男先生
二十二 報国といふ語
「相見文書」/「伯耆巻」/『太平記』
二十三 建武と現代の問題
大東亜戦争などの呼称/安井英二氏/建武中興六百年祭/田中繁松氏
二十四 世論や風評に迎合せず
粟野二男雄翁/建武中興に学ぶこと/菊池武夫男爵
二十五 菊池武時勤王の由来
武時公と大智禅師/加賀から肥後の到着時期
二十六 家訓継承の精神
禅師お手植ゑの杉/菊池荘の古文書/黒板・辻両博士の鑑定眼
二十七 叔父平泉渉の話(一)― 楽しかつた囲炉裏端の輪講 ―
『史記』越王勾践世家/『史記』刺客列伝(荊軻)
二十八 叔父平泉渉の話(二)― 研究が好きでたまらない人 ―
宮崎道生氏見送り/古本屋に同行/『職原抄』古写本/ノートの活用
二十九 祖父の回想談(一)― 人名を覚える才覚 ―
島田の叔母さん/神武天皇聖蹟調査/第八軍司令部召喚
三十 祖父の回想談(二)― 祖父の血液型 ―
古畑種基教授/国史研究室/なぜ皇室を護るのか
三十一 祖父の回想談(三)― 留学は同僚扱ひで歓迎 ―
ライプチッヒのヘルマン教授/ゲッチンゲンのガイガー教授/斎藤勇教授
三十二 祖父の回想談(四)― 陸軍将官の間違ひ ―
信吉治男少佐/松田巻平中将/『将たるの心構』
三十三 昭和五十一年正月の講話(一)― 外国に行く時生まれた三男 ―
叔父渉の衆院選出馬/日本の非常事態/黒板先生の一言
三十四 昭和五十一年正月の講話(二)― 在英を切り上げて帰国 ―
欧州留学/日本が危ない予感/満州事変起こる
三十五 昭和五十一年正月の講話(三)― 皇室や陸海軍からの信頼 ―
ご進講/近衛公/小畑敏四郎中将
三十六 昭和五十一年正月の講話(四)― 陸海軍を一つにしたい ―
陸軍大演習の講評/二・二六事件
三十七 昭和五十一年正月の講話(五)― 誠をもつて先を見通す ―
崎門学派/黒木少佐/阿南大将
三十八 昭和五十一年正月の講話(六)― 心を一つにする ―
河合退蔵氏/市橋頭取/粉骨砕身
三十九 昭和五十一年正月の講話(七)― 日本の国を立て直す ―
『少年日本史』/託すべき人物/渉の人となり
四十 白山の神縁
白山の創祀千三百年/回天顕彰会での頼惇吾氏
あとがき・索引
著者略歴
平泉 隆房(ひらいずみ たかふさ)昭和二十九年(一九五四)二月十九日福井県勝山市平泉寺で誕生(父洸・母百合子の長男)。勝山高等学校を経て昭和五十一年(一九七六)皇學館大学文学部国史学科卒業、同大学院進学。同五十六年同大学神道学科助手、同六十一年国史学科講師。平成三年(一九九一)同大学国史学科助教授。同七年金沢工業大学助教授、平泉寺白山神社宮司。同十二年同大学教授。同十六年皇學館大学より博士号(文学)を授かる。神社本庁教学委員、大坂国学院講師などを歴任。令和六年(二〇二四)八月十六日帰幽(満七十歳)。
著書
『中世伊勢神宮史の研究』吉川弘文館、平成十八年